2013年9月19日木曜日

僕らのブラウザの中の延長線上にあるシリア内戦「WIRED VOL.9」

オープンガバメント特集という事で、先を行くアメリカとエストニアの事例、そして財政破綻をしたデトロイトで今起きている状況のレポートなど興味深い内容だった。

ただ東日本大震災以降に日本でも経産省などでも取り組まれていたと思うのだけど、最近ぱったり聞かなくなった感じもするので、そのあたりどうなっているのか、や、海外の先行事例を元に日本で今後どう取り組んでいくべきなのか、という話しもちょっと読みたかったなぁと思う。

やや物足りない特集ではあったけどこの号を買って良かったと思ったのは、巻末に掲載されていたシリア内戦のレポートが面白かったから。3週間に渡ってシリアのアレッポに滞在し反政府軍の武器製造について取材したという翻訳記事で、その内容が結構衝撃的だった。

武器や兵器の製造というと今どきは最新テクノロジが投入された世界を想像するが、取材先の状況は完全な家内制手工業。限られたツールと素材を使い、本業ではない人たち(元々はネットワーク管理者や塗装業者などの人たち!)が製造に携わり、最新設備を持った政府軍と対峙している。そして人殺しの道具を作っているのだという思いを持ちながらもなお、自分たちの行動が自国の未来を切り開くのだという信念で戦っている。

化学兵器使用の話題以上のことが伝わってこないシリア情勢は、日本では遠い国のこととして考えがちではあるけれど、このレポートの所々に挟まれる妙に身近なエピソードが決してそうではないと教えてくれる。

武器製造にネットの情報を駆使しているのは当然として、ゲーム『エイジ オブ エンパイア』からアイディアを得た兵器、マシンガンの操作にプレステのコントローラを使った装甲車、そして自家製手榴弾を飛ばすスリングショットを前にして「アングリーバードさ」という兵士。しかも飛ばした手榴弾は角度を誤って壁にあたり自分たちの方に戻ってきてしまうというゲームみたいなエピソードも…(実際に爆発してるので命がけなのだけど)

僕らが日ごろ覗き込んでるブラウザの中ともシリア内戦はそれほど遠くないところで繋がっている。WIREDのこの記事は国内ニュースなどでは知る事ができないシリア情勢の1側面を伝えてくれる良記事だった。こういうテーマはあまり他のメディアでは取り上げないと思うのでWIREDには頑張って欲しいなと思う。

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